詐欺罪

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺とは、人を騙す行為を行い、相手が騙された状態であることを利用して、財産を奪う行為をいいます。
振り込め詐欺、投資詐欺、結婚詐欺など様々なタイプがあります。

具体例:
・他人のクレジットカードを使って、本人に成りすまして買い物をした場合
・身分(氏名、住所等)を偽って、銀行の預金口座を開設した場合
・身分(氏名、住所等)を偽って、携帯電話の契約をした場合

最近の傾向:
不正に入手した他人のクレジットカードを用いたり、
他人のカードの情報を不正に盗み取って(いわゆるスキミング)クレジットカードを複製したりして、
本人に成りすまして、高価な買い物をする詐欺が後を絶ちません。

近年、銀行口座の開設や携帯電話の契約は、(犯罪に利用されることを防ぐために)本人確認を徹底しています。他人に成りすまして、これらの行為を行ったり、本名を名乗っても、生年月日や住所等を偽ったりすると、詐欺罪として処罰されます。
こういった詐欺の場合、偽造した身分証(免許証、パスポート、保険証等)を使いますので、
これも犯罪であり、詐欺だけでなく有印私文書偽造、同行使罪に問われます。

刑罰の傾向:
罰金刑がありませんので、公判請求されれば、懲役刑が科される可能性があります。
初犯で情状も良ければ執行猶予が付く可能性がありますが、被害額が大きいなど犯情が悪ければ、初犯でも実刑の可能性が高くなります。

弁護活動
1. 示談
被害者がいる犯罪ですので、被害者との示談が最重要事項となります。
ただ、銀行やクレジットカード会社等の金融業者は、示談に応じてもらえないことが多いです。
また、被害者は加害者本人と交渉・面会することは拒否するはずですので、
第三者である弁護士に依頼して示談交渉を進めたほうがよいことは言うまでもありません。

2. 反省
本人に十分な反省を促すことが重要です。
そのためには、なぜ事件を起こしてしまったのかを考えることが重要です。
弁護士は、反省文を書かせるなど、反省を深める助言・指導をします。

3. 違法な組織との縁を切ること
詐欺は、暴力団など違法な組織が背景に存在することがほとんどですので、
今後このような組織と縁を切り、社会人としてきちんとした職に就くことが重要です。
それが、再犯の防止にもつながります。
弁護士は、家族と連絡を取るなどして、その環境調整に努め、環境が整っていることを裁判所や検察庁に主張していきます。

4. 再犯防止
詐欺罪は、金銭目的で行われる犯罪であり、生活費に困って行ってしまうことも少なくありません。
そのため、今後の生活場所や職が決まっていなければ、「またお金に困って再犯するのではないか」と疑われやすい傾向にあります。
再犯をしないとの誓いを裁判所や検察庁に信用してもらうために、弁護士の方で、上記の住居や職などの環境調整に努め、環境が整っていることを裁判所や検察庁に主張していきます。

5. 贖罪寄付
被害者が示談に応じない、被害者数、被害金額が大きすぎて示談金が準備できないなど示談が行えない場合には、贖罪寄付を行なうことも有効です。
これは犯罪行為によって得てしまった利益を得たままにせず、慈善事業などの公益のために寄付することで、裁判所から罪の償いが行われたと認定してもらえる可能性があります。これによって、減刑される可能性があります。