痴漢
刑法第176条
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、
6月以上7年以下の懲役に処する。
13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
迷惑防止条例(東京都の場合)
第5条
何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
第8条
次の各号の一に該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 (省略)
二 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者
痴漢の最近の傾向
痴漢は、否認している場合、逮捕勾留の手続で身柄を拘束されやすいことに特徴があります。
仮に、会社員のような身元がしっかりしていて過去に痴漢などの前科前歴がない場合でも、
いきなり逮捕勾留されてしまうことも珍しくありません。
痴漢で検挙され、ひとたび、身柄を拘束されてしまうと、最大で23日間、身柄を拘束されてしまいます。
身柄を拘束されないために、もしくは身柄を早期に解放するためには、
早期に弁護士に依頼し、弁護活動を開始することが重要です。
逮捕されたら
痴漢の刑罰の傾向
痴漢が「迷惑防止条例」違反とにあたる場合
痴漢で検挙されたことがなく(初犯)、痴漢自体を認めていれば罰金で済む可能性があります。
もっとも罰金は立派な前科ですので、前科がついてしまいます。
痴漢の前科を隠して、就職、転職した場合には、
就職先・転職先の会社に対して、詐欺罪が成立する可能性があります。
痴漢の前科を隠して入社したことが発覚すれば、
詐欺に問われなくても、解雇される可能性も高いです。
だからといって、正直に痴漢の前科を申告すれば、
会社としては、その人を不採用にする可能性が高いでしょう。
そのため、できるだけ痴漢の前科が付くことを回避すべきです。
痴漢の被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分も見込めます。
痴漢が「強制わいせつ」罪にあたる場合
痴漢で検挙されたことがない場合(初犯)であっても、公判請求される可能性があります。
痴漢事件が起訴する前に、痴漢の被害者と示談が成立すれば、不起訴の可能性もあります。
痴漢事件が起訴された場合、初犯で痴漢の被害者と示談が成立するなどきちんとした弁護活動がなされれば、執行猶予が付く可能性があります。
痴漢における弁護活動
1. 痴漢における示談
痴漢の被害者との示談が最重要事項となります。
しかしながら、痴漢の被害者との示談を加害者ご本人が行うのは極めて難しいです。
痴漢の被害者との連絡を取ることが難しいからです。
警察や検察官も、痴漢の加害者に弁護士がついていない場合、被害者の連絡先を教えません。
痴漢の加害者から、被害者に報復や、不当な働きかけをするおそれがあるからです。
勿論、痴漢の被害者は加害者本人に連絡先を教えたり、交渉・面会することは拒否するはずです。
痴漢の被害者の連絡先を入手できたとしても、
痴漢の場合は特に、被害者の被害感情が強く、簡単には示談に応じてもらえないことが多いです。
そのため、痴漢の示談は、第三者であり、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきであることは言うまでもありません。
2. 痴漢における贖罪寄付
(贖罪寄付=弁護士会等への寄付で慈善事業のために用いられます)
・被害者が示談に応じてくれない、
・被害者の数が多い、
・示談金額が多額で用意できない、
など、痴漢の示談が困難な場合でも、贖罪寄付を行うことによって減刑される場合があります。
贖罪寄付を行うことによって、痴漢の示談はできていなくとも、痴漢の被害者に示談金を支払った時と同様の経済的負担を負ったという証拠になり、有利な情状のひとつになります。
3. 痴漢における反省
本人に十分な反省を促すことが重要です。
そのためには、「なぜ痴漢を行ってしまったのか」、
痴漢により「被害者や自分の周囲の人にどれだけ迷惑を掛けたか」を考えることにつきます。
最終的には、「再犯をしないためにはどうしたら良いか」ということにつながります。
反省文を書かせるなど、反省を深める助言・指導をします。
4. 痴漢における再犯防止
痴漢などの性犯罪は再犯率が高く、根が深い犯罪です。
犯行自体も、痴漢行為から強姦などの凶悪なものにエスカレートしていく傾向にあります。
今回の痴漢行為で、痴漢などの性犯罪一切を断ち切らせることが、痴漢の弁護上も重要です。
痴漢を繰り返さない(再犯をしない)ことを誓わせることも重要です。
しかし、単に「もう二度と痴漢をしません」といっただけでは、裁判所も検察官も信用しません。
「もう二度と痴漢をしません」との誓いを信用してもらう必要があります。
痴漢の弁護を行う場合、痴漢を起こしてしまった本人と一緒に、痴漢事件の原因を分析します。
また、痴漢は一種の精神的病理である可能性が高いので、痴漢などの性犯罪に詳しいカウンセラーなどの他の専門家紹介等を行います。痴漢の加害者には、専門家による痴漢防止カウンセリングなどを受けてもらい、本当に痴漢の再犯の恐れがないことを主張立証していきます。
逮捕、勾留で身柄を拘束されてしまったら
痴漢についてのご相談で、よく受ける質問
痴漢で逮捕されてしまうの?
逮捕されることはあります。
どんな場合に痴漢で逮捕されるの?
痴漢をした疑いが強く、
①逃亡のおそれがある場合
②痴漢の証拠隠滅をするおそれがある場合
の一方または両方のおそれがある場合です。
痴漢で逮捕されるとどのくらい外に出られないの(身柄を拘束されるの)?
逮捕されると、最大で3日間外に出られません(身柄を拘束されます)。
その後、さらに身柄拘束が必要と判断された場合、最大20日間身柄を拘束されます。
すなわち、逮捕と勾留で最大23日間身柄を拘束されます。
痴漢を認めない(否認する)と逮捕されるって本当?
痴漢を認めていない(否認している)場合、逮捕される可能性が高くなることは否定できません。
なぜなら、その人が痴漢をしたと疑うに足りる状況下にもかかわらず認めない場合、
周囲の人は「逃走する・痴漢の証拠隠滅を図るなど痴漢の処罰を免れようとしているからだ」と思うからです。
だからといって、痴漢をやっていないのに、逮捕されないために「痴漢をやった」と認めるのは危険です。
痴漢で逮捕されないようにする・痴漢で釈放されるにはどうしたらいいの?
早期に弁護士に依頼することが一番の近道です。
痴漢で逮捕を防ぐ・痴漢で逮捕されても釈放されるためには、
「逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れがないこと」をきちんと、書面の形で証明する必要があります。
当事務所では、痴漢事件での逮捕阻止、釈放に成功した経験から得たノウハウを生かして、
痴漢弁護のご依頼を受けた場合、いち早くご本人、家族と面談し、
逮捕阻止・釈放活動(勾留阻止。勾留に対する準抗告申立て)を行います。
逮捕阻止・釈放活動を行うに当たっては、警察、検察に書面を提出して、
逮捕の必要性がないこと・釈放するべきことを証明していきます。
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