窃盗
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗とは、他人の支配下にある動産を自己の支配下に入れる犯罪行為です。
具体例:
・民家に忍び込んで、お金を盗った場合(空き巣)
・閉店後の店舗に忍び込んで商品を盗んだ場合
・他人の自動車やバイクの鍵を壊して持ち去った場合
・不正に取得した他人のキャッシュカード(窃盗や遺失物など)で、ATMから現金を引き出した場合
窃盗の最近の傾向
空き巣、車上狙いの他、
閉店後の店舗に侵入して金品を持ち去る窃盗団や自動車やバイクを持ち去る犯行も多いです。
組織的な窃盗集団である「爆窃団」という言葉も報道されていますが、これも窃盗犯の一種です。
また、他人のキャッシュカードを不正に取得し(キャッシュカード自体を窃盗、落とし物を拾った等)、
そのキャッシュカードを使って、ATMで現金を引き出した場合も、窃盗罪で処罰されます。
窃盗の刑罰の傾向
窃盗の目的が「転売」など、営利目的の窃盗の方が、情状が悪く罪が重くなる傾向にあります。
また、高価で窃盗が難しいもの(宝石店の宝石など)、自動車、バイク等の窃盗やキャッシュカードの不正使用による引出しは、素人的な犯行ではなく、悪質なものと扱われます。
そのため、窃盗が初犯でも罰金等では済まず、公判請求され、実刑の可能性も十分にあります。
窃盗の弁護活動
1. 窃盗における示談
窃盗の被害者との示談が最重要事項となります。
ただ、示談の交渉というのは、被害者の意向など様々な要素が絡み、難しいものです。
被害者は加害者本人と会えば、怒りが再燃し示談に応じなくなる可能性もあります。
それだけでなく、警察や検察官も、窃盗の加害者に弁護士がついていない場合、
被害者の連絡先を教えることはまずしません。
加害者から、被害者に報復や、不当な働きかけをするおそれがあるからです。
第三者である弁護士が示談交渉をすることによって、被害者も冷静に対応でき、円滑に示談活動が進みます。
2. 窃盗における贖罪寄付
(贖罪寄付=弁護士会等への寄付で慈善事業のために用いられます)
・被害者が示談に応じてくれない、
・被害者の数が多い、
・示談金額が多額で用意できない、
など、万引きの示談が困難な場合でも、贖罪寄付を行うことによって減刑される場合があります。
贖罪寄付は、窃盗で得た不法な利益を「得たままにせず、きちんと公共のために返還した」という
証拠になり、有利な情状のひとつになります。
3. 窃盗における反省
本人に十分な反省を促すことが重要です。
そのためには、「なぜ窃盗を行ってしまったのか」、
窃盗により「被害者や自分の周囲の人にどれだけ迷惑を掛けたか」を考えることにつきます。
最終的には、「再犯をしないためにはどうしたら良いか」ということにつながります。
反省文を書かせるなど、反省を深める助言・指導をします。
4. 窃盗における再犯防止
窃盗を二度としない(再犯をしない)ことを誓わせることも重要です。
しかし、単に「もう窃盗は二度としません」といっただけでは、裁判所も検察官も信用しません。
再犯をしないとの誓いを信用してもらうために、
弁護士の方で、今回の事件の原因の分析、カウンセラーなどの他の専門家紹介等を行い、
本当に再犯の恐れがないことを主張立証していきます。
窃盗集団との縁を切ること
組織的な窃盗集団に加わってしまった場合には、その窃盗集団と縁を切ることが重要です。
窃盗集団と縁を切ることが、反省の証となり、また、窃盗の再犯の防止や更生の証明にもなります。
そのためには、早い段階から、弁護士を付けて弁護活動を行うことが重要です。